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『診療報酬点数表』とは?

診療報酬とは?

病院は,提供した医療に対する報酬を得て運営されています。どんな医療を提供し,それに対してどれだけの報酬を保険で支払うかは,国が保険診療という枠組みを設け,1点10円として点数を付けて値段を決めています。この保険診療の決まりに沿って提供した医療に国から支払われるものが診療報酬であり,ここに該当しない医療は保険外診療(自由診療)となります。

医療事務業務と診療報酬

診療報酬は,提供する医療行為だけでなく,診療時間や対象患者などのその行為に付随する条件や,病院の備える施設・人員などの条件によって非常に細かく値段が変化します。病院ではこれらの膨大な情報に基づいて,行った診療行為や条件に照らしながら,正しく・もれがないように保険請求を行っていくことになります。

現在,多くの病院では保険請求業務のためのコンピュータシステムを備えています。しかし,診療報酬の計算方法や算定の要件,診療報酬点数表の構成・構造などを理解し,その知識を備えることは,医療事務の仕事にとっては必須の基本事項と言えます。
また,診療報酬は2年に一度見直され,変化していくため,システムもそれに合わせて更新しなくてはいけません。病院の条件や特性などでコンピュータをカスタマイズすることも必要です。たとえコンピュータ処理であっても,その管理と運営には診療報酬に関する十分な知識が求められるのです。

診療報酬の基本情報

ここでは,診療報酬の項目・点数,そしてそれに関する情報には何があるか,どのように整理できるかを『診療点数早見表』を使って見ていきましょう。

医学通信社の書籍 『診療点数早見表』には,何が書いてあるの?

診療報酬点数は,基本として病院で行われる一つひとつの医療行為を網羅して点数(値段)を付けています。ですので,それらの項目を押さえるだけでも膨大な情報量となります。

診療行為の名称とその値段

どのような診療行為にいくらのお金がつくのか,診療項目とその点数は,『診療点数早見表』では点線枠内の青色部分に掲載されています。規定の明細略号とは,項目をレセプトに記載するときに使用される略号です。通則など全体に関連する規定や,「短期滞在手術等基本料」など関連する別項目がある場合に,編集部からの記号による案内が付記されているものもあります。

「注」には重要な算定の条件や加算がのっている

点数の下には「注」があります。対象となる患者などの条件,得られる加算とその条件,算定回数や頻度,限度など,診療報酬請求時,算定にかかわる重要な事項が書かれています。

通知で詳細な情報を確認しましょう

点数などのある水色の枠の下に,関連する国からの通知がまとめられています。通知には,診療項目に関連する,より詳細な条件や説明が記載されています。

必要な条件を施設基準でチェックします

算定にあたり,「施設基準等」として,厚生労働大臣による告示が出されている場合があります。ここには,対象となる患者の詳細や,算定にあたり施設に求められる設備や医療スタッフ配置数・備えるべき技術などの条件が掲載されています。『診療点数早見表』では,重要な施設基準を抜粋し,関連する項目のそばに掲示しています。また,その全文を本の後半「2 厚生労働大臣が定める基準等」に収載しています。

事務連絡や編注,参考情報で理解を補足できます

診療報酬点数に関する情報量は膨大ですが,実際の臨床場面においてはもっと複雑で多彩なケースが発生し,算定に迷うことが多くあります。そのため,厚生労働省をはじめ支払基金や保険団体連合会などからQ&Aなどの多くの補足情報が出されています。『診療点数早見表』においてそれらは,関連する点数・基準と組み合わせて一連で見られるように掲載されています。解釈に迷う場合などに参考にしましょう。

診療報酬の改定と情報の更新

診療報酬点数に関しては,これまで見てきたように,多くの情報がかかわっています。これらはそれぞれが別々のタイミングで発出されていますが,2年に1度,医療の進歩や医療政策の変化とともにその大元となる診療項目と点数が見直されていきます。これを「診療報酬改定」といいます。

改定では,項目の新設・削除や変更,点数の見直しをはじめ,関連する通知や施設基準が新たに出されたり,変更されます。これら様々な情報は,官報や厚生労働省ホームページ,関連団体の媒体などでそれぞれに更新されていきます。

診療点数に関する情報は,2年に1度の診療報酬改定時以外でも,随時,修正や更新がかけられ,それらの情報は国からの告示,通知や事務連絡などで発信されていきます。
『診療点数早見表』はこれらの情報を集約して年に1度,改訂版が発行されています。変更のあった箇所は色を使って表示してありますが,これを見るだけでも,いかに診療報酬評価が時代を反映し,変わっていくものかということがおわかりいただけるのではないでしょうか。病院事務では,これらの情報を確実に入手し,業務にかかわるシステムを運営していくことが求められます。

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